県内建設業の歴史的背景
現在長崎駅があるエリアは、かつて海だった。
そんな話を聞くとちょっと信じられない気持ちにもなりますが、
これは本当のことで、今から100年以上前の明治期に大規模な埋め立て工事が行われました。
そこを起点に水産や物流といった産業が集積し、現在の長崎県へと発展してきたのです。
さらに時代を遡って南蛮貿易が行われた室町時代や幕末も長崎は常に港湾都市であったことから、
優れた造船技術や港湾工事技術が培われていきました。
そして、戦後から現在に至るまでの経済成長の土台にはいつもインフラ整備という建設業の活躍があり、
長崎大水害や雲仙普賢岳噴火からの復興にも大きく貢献してきました。
そういった時代の変化と経済成長の中で、陸も海も得意とする長崎県の建設業が形成されていったのです。
数字で見る長崎県の建設業
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■就業者数
56,721 人出典元: 令和元年度長崎県県民経済計算
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■建設業許可業者数
4,940 業者出典元: 国土交通省 不動産・建設経済局 建設業課
(令和3年5月17日) -
■平均給与
350,970 円出典元: 令和3年毎月勤労統計調査地方調査年報
(長崎県 統計課) -
■産業別構成比
8.6 %出典元: 令和元年度長崎県県民経済計算
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■女性増加割合
117 %出典元: 令和2年国勢調査から算出(H27→R2)
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■男女比
女性 15.3 %男性 84.7 %出典元: 令和2年国勢調査就業状態等基本集計結果
長崎県分の概要(長崎県 統計課)から算出
主な職種の紹介
※テキストの出典元:(一社)長崎県建設業協会 建設業のススメ(業種編)-
土木工事業
道路工事、トンネル工事、橋梁工事、ダム工事、水路工事、宅地造成工事、鉄道軌道工事など、土木工作物を建設する工事を行います。生活の中で、建物以外のすべてが守備範囲となる業種で、暮らしを支えるインフラを整備する仕事です。補修、改造又は解体する工事も含むため、「地図に残る」だけでなく「地図を変える」仕事とも言えます。
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建築工事業
あらゆる建築物を造る仕事で、衣・食・住の「住」を担う重要な業種であると言えます。建築物に関する設計・施行・維持管理と守備範囲が広く、中でも現場監督は、設計書を見てその意図を理解し、施行の手順や調整といった全体を見つつ、例えば鉄筋の位置や向きなど細部に至るまで目を配るプロフェッショナルな役割が期待されます。
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建設コンサルタント
道路や護岸、橋梁、トンネルなど、インフラ施設の企画、立案、事前調査、調査、設計、施工管理を行う専門家です。直接的な建造には関わりませんが、イメージした「まち」を具体化させていくため、ものづくりに携わる仕事と言えます。測量など現地での調査のほか、計算やデータ整理など内業もあるため、女性にも取り組みやすい業種です。
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型枠大工工事業
コンクリートを用いる建造物を造る際、必要不可欠なのが型枠大工。建設現場で、水平垂直に注意しながら印を付け、それに沿って型枠を組み立てます。その後、型枠のなかにコンクリートを流し込み、コンクリートが固まったら型枠を外すというのが一連の作業。建築物はもちろん、橋梁やダムなど土木分野でも活躍します。
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鋼構造物工事業
木造以外の建築物には、柱や梁に鋼材が用いられますが、鋼構造物とは「鉄骨」が使用された建物。これはコンクリートの中に埋め込まれて立つ「鉄筋」とは異なり、単独で構造体に成り得るのが特徴。そのため、他の業種と連携をとって一つの建物を造り上げるというより、本工事で自己完結するという性格が強い業種であると言えます。
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鉄筋工事業
鉄筋コンクリート建造物のコンクリートの中には鉄筋が埋め込まれており、人間でいう骨にあたる重要な部分を担います。鉄筋は、建物ごとに長さや太さ、数量が異なるため、まずは図面から必要な鉄筋を読み出し、鋼材を曲げたり、切断するなど加工をします。そして、できた材料を現場に運び、組み立てていくのが一連の作業です。
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電気工事業
電気に係る全般を担う仕事。現代の建築物は、照明はもちろん設備機器などを動かす上でほとんどの物が電気を必要とします。また、屋外においても街灯などの道路照明や交通安全の確保に欠かせない信号機も電気なくしては機能しません。電気は水に並ぶ重要なライフラインであり、電気工事業は人々の生活に灯りをともす職種です。
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管工事業
ガスや水道などの配管の工事を行います。道路の下などに本管を設置したり、本管から宅地へ給水管を引いたりする「暮らしを創る」面と、水道管が破裂した時などは24時間態勢で修理に駆けつけるといった「暮らしを守る」面を持ち合わせています。普段あまり目にすることはありませんが、まさに縁の下で「暮らしを支える」存在です。
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左官工事業
セメントやモルタルで壁や床を塗り、継ぎ目を消したり凹凸を無くすのが主な仕事。建設途中の下地ならしなど、目に見えないところでも活躍しますが、何と言っても醍醐味は仕上げ作業。出来上がりは一目で判断されるため、1ミリ単位の精度を要します。建造物の美しさは、左官の腕にかかっていると言っても過言ではありません。
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空調衛生設備工事業
管を扱うという点で管工事業と似通っていますが、冷暖房や換気などの空調設備、給排水・汚水処理などの衛生設備と、建築物に重点を置いた工事を担当します。どんなに立派な建物でも、空調や衛生の設備がなければ不便です。家が人だとすると、管は血管と例えられるほど重要で、快適な暮らしをクリエイトする仕事と言えます。
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塗装工事業
建築物、建造物の最後の仕上げを担当する仕事です。ビルや住宅などを美しく装うことは見た目の印象に直結しますし、それ以外にも、ヒビ割れ防止や防水、金属部の腐食を抑えるための塗り替えなど、建物の保護を目的とした面でも注目されます。街の景観向上と快適性に加え、その保全にも一役買う業種だと言えます。
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大工工事業
大工工事の仕事は、主に木材を用いて建物を建てることはもちろん、木製設備の取り付けなど、内装や仕上げにまで及びます。場合によっては、看板や棚、アクセサリーなどの小物類まで守備範囲が広がる、まさに木工製品のスペシャリスト。建設現場は、大工さんがいないと成り立たないと言っても過言ではありません。
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屋根工事業
屋根に関わる全般の工事を行います。中でも、特に注目したいのが瓦屋根。瓦の製造、施工技術は、1,400年以上も前に伝わったと言われ、耐風、防水、防音性に優れることから、今も当時とほぼ変わらない様式です。また、歴史の変遷とともに材質の多様化や科学技術に基づく施工方法の発展もあり、伝統と先進が融合する業種と言えます。
県内建設業のこれから
長崎は今、「100年に一度の変化」の真っ只中にいます。それは例えば、九州新幹線西九州ルートの開業や長崎駅周辺の再開発、長崎スタジアムシティプロジェクト、IR(特定複合観光施設)区域認定の推進など、大きなトピックだけでも数知れないほどです。
大小様々なプロジェクトから私たちの日常を支えるインフラ整備まで、建設業はすべてつくる喜びと誇りに満ちている仕事と言えます。
人々の想いをかたちにするのはいつも建設業だからです。
都心部だけでなく県内全域で必要とされる建設業。「令和のまちづくり革命」を掲げ、“Change and Challenge”が溢れるこれからの時代、長崎県の建設業には成長性と可能性しかないと思いませんか。