積み重ねてきた経験と技術力を地元の半導体製造分野で発揮

積み重ねてきた経験と技術力を地元の半導体製造分野で発揮

積み重ねてきた経験と技術力を地元の半導体製造分野で発揮

『変わりゆく長崎~100年に一度の変革期~』の3回目です。
長崎県の産業構造も大きな変革期を迎えています。
その中で、今回は本県の成長産業の一つである半導体製造分野で力を発揮している方にスポットをあてました。

東彼杵町に長崎工場を構える「ウラノ」は、金属加工の高い技術力とノウハウが自慢。宇宙・航空や半導体製造装置、医療機器、エネルギー分野で活躍しています。加工プログラムを作成するプログラマーとして働く久保航大さんは、もともと全国の自動車・バイク工場の設計部門に派遣される仕事をしていました。転職までの経緯や長崎の魅力、ウラノの職場環境や仕事内容などについて、お話を伺いました。

久保 航大さん

株式会社ウラノ 長崎工場

久保 航大さん

利益創造グループ
長崎県出身 入社3年目

ものづくりの土台となる加工プログラムを作成

Q.久保さんの現在のお仕事について教えてください。

所属している利益創出グループでは、製品の改良や新規開発など幅広い業務に携わっています。私はプログラマーとして、主に半導体製造装置に使われる部品を加工するためのプログラムを作成しています。実際に製品が流通するまでには数多くの工程があり、限られた納期内で完成させることに大きな責任を感じています。

作成したプログラムをもとに、ウラノでは自社工場で製品を加工します。自社で加工まで一貫して行うからこそ、工場の現場担当者から良い点・悪い点について細かいフィードバックをもらうことができ、今後の改善やさらなる技術力向上に繋げられます。

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Q.他の部署とも連携する機会が多い仕事のようですが、プログラマーの方たちの雰囲気はいかがですか。

自分の意見をきちんと発言できる方が多いと感じます。加工プログラムをもとに現場作業を進める中で、部品の形状や加工方法について質問される機会が多くあります。その際にはっきりと自分の意図を伝えられないと、完成した製品にミスマッチが生まれてしまいます。先輩方は、わざわざ過去のデータを調べなくても自分が担当したプログラムの質問に素早く答えていて、とてもかっこいいですね。それだけ技術力や経験があるのはもちろん、自分の手掛けた製品に対する強い想いがあるんだと感じます。

ものづくりの道を進みながら故郷へUターン

Q.大村市出身の久保さんは、大村工業高等学校の出身。ものづくりに興味があったんですか。

小さい頃から車などの乗り物が大好きで、地元の工業系高校を選びました。卒業後はそのまま就職する学生が多い高校ですが、私はもう少し専門的な知識を学びたいと考えて、自動車関係の知識を学べる福岡の麻生工科自動車大学校に進学しました。都会に出て生活してみたいという気持ちも理由の一つです。

専門学校では3年制の自動車工学・機械設計科を選択。3次元CAD(コンピュータ支援設計)を使って自動車のコンピュータモデルを作るなど、実践的な学習内容でした。ちなみに現在の利益創造グループでは、この3次元CADの知識を身につけていたことで配属に結びつきました。福岡での一人暮らしは、もう素直に楽しかったですね(笑)。お店や遊ぶ場所に困らないし、都会暮らしを満喫していました。

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Q.その後、どのような経緯でウラノに入社したのでしょうか。

やっぱり車に関わる仕事がしたかったので、卒業後は特定技術派遣という形で、全国の自動車工場に派遣されて自動車やバイクの設計に携わる仕事に就きました。数年間隔で転勤する中、一時期なかなか次の勤務地が決まらなかったんです。そこで自分の将来を改めて考えて、このまま全国を渡り歩きながら技術職として働くのではなく、地元の長崎で自分の技術を活かしたいという気持ちが強くなりました。

そこで一旦自動車業界という枠は設けず、設計業務ができる長崎県内の企業を探しました。その中で見つけたのが、ウラノの長崎工場の中途採用募集です。偶然そこで友人が働いていたので、社内の雰囲気や業務について話を聞き「この会社で技術力を発揮できるかもしれない」と感じたことから申し込み、現在の利益創出グループの一員として入社しました。

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Q.地元を離れていた久保さんが、改めて故郷に目を向けたきっかけはなんですか。

勤務地が熊本だった時期に、よく帰省していたんです。家族と過ごしたり、地元の友人と遊ぶ中で、長崎に拠点を置くのもいいかもしれないと思いました。県外では仕事仲間とばかり一緒にいたので、仕事を取っ払った地元の友人の存在はとても有り難いです。今は実家暮らしなので、家族の大切さもより一層感じています。

自分の成長が、会社の成長に繋がる環境

Q.長崎での暮らしはいかがですか。

学生時代よりも行動範囲が大きく広がり、自由に使えるお金もある分、特に不自由はありません。長崎に拠点を移した後も福岡へ遊びに行くことはできますし、特に大村市は交通アクセスに優れているので快適です。

趣味はバイクに乗ることで、特に島原半島の雲仙は素晴らしいツーリングコースだと思います。景色も良いし、温泉もあるし、そうした豊かな自然が身近にあることは社会人になってから改めて気付きました。

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Q.転職した現在の職場環境はいかがですか。

前職ではさまざまな仕事のルールが確立されていて、その通りに進めないといけないプレッシャーがありました。当社は良い意味で成長途中なので、仕事を進める上でやりづらい部分を改善しながら、自分の成長だけではなく会社の成長も感じられる環境だと思います。これから自分の技術を高めていきながら、職場全体がよりスムーズに仕事を進めるためのアイデアを積極的に出して、会社とともに成長していきたいです。

Q.後輩へのエール

私個人の意見としては、新卒で就職した企業だけが人生の全てではないと思います。もちろん納得した上で同じ企業で長く働くことも大事ですが、企業は誰に対しても完璧な存在ではありません。同じ場所で働き続けることだけにとらわれず、自分のやりたいこと、望ましい働き方を大切に、視野を広く持つべきだと思います。きっと自分に合った環境が見つかるはずです。

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取材日/2022年6月6日 取材はソーシャルディスタンスに十分配慮した上で行ない、撮影時のみマスクを外しています