新しい未来を切り開くICTを活用した技術開発

新しい未来を切り開くICTを活用した技術開発

新しい未来を切り開くICTを活用した技術開発

『変わりゆく長崎~100年に一度の変革期~』の4回目です。
本県では、産業構造も大きな変革期を迎えており、近年情報関連企業の誘致に力を入れており、長崎でも本社と同様の業務に携わることができる企業が増えています。
今回は、日本を代表する情報関連企業の研究・開発拠点で活躍している方にスポットをあてました。

2019年秋に情報通信技術(ICT)開発拠点「長崎 Innovation Lab」を長崎市出島町に構えた京セラコミュニケーションシステム。技術戦略部に所属する川井凌太郎さんは、ARやVRを活用した技術開発にチームで取り組んでいます。窓から長崎港を眺められるオフィスは、働きやすい環境が充実。時代を先取りする仕事内容や、新型コロナウイルスの影響を受けた就職活動、地元長崎での生活などについて、お話を伺いました。

川井 凌太郎さん

京セラコミュニケーションシステム株式会社

川井 凌太郎さん

ICT事業本部 技術戦略部 先端技術開発課
長崎県出身 入社2年目

5年後、10年後の社会を見越した技術開発

Q.まずは川井さんの担当している仕事内容について教えてください。

技術戦略部は、ICTを活用した新技術の開発が主な業務です。私が所属しているチームで担当しているのは、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)を用いた技術開発です。開発は高性能なノートパソコンを使用し、Meta Quest 2という一般にも販売されている専用デバイスを使って動作検証を行います。日々開発の技術を高めながら検証を繰り返し、将来的には自分の技術を親会社である京セラ株式会社の工場で活かすのが目標です。具体的には、工場内の在庫管理をVR・ARの技術で視覚的にサポートするシステムなどが考えられます。

VRやARと聞くと、まだまだ遠い未来のことのようなイメージを持たれるかもしれません。しかしこれから専用デバイスがどんどん進化してメガネのように簡単に装着できるようになると、一気に普及すると予想されます。5年後、10年後は主力になるかもしれない技術に今から携わることができて、とても夢のある仕事だと感じています。

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Q.1からの技術開発となると、実際の導入までかなり時間がかかるのではないでしょうか。

年単位で開発に取り組むことも珍しくありません。途中で挫折しそうになることもありますが、それだけ乗り越えた時の達成感は大きいです。またチームで協力して開発を進めているので、コミュニケーションは常に大切にしています。私の職場は「なんでもやってみよう」というコンセプトを掲げていて、年齢問わずチャレンジしやすい環境だと感じます。

長崎のオフィスには、開放感のあるリフレッシュスペースがあります。特に個人のデスクは決まっていないので、気分転換したいときはここにノートパソコンを持ち込んで仕事をしています。ハンモックがあり、長崎港を眺められる景色も素敵ですよ。

オンラインでの就職活動を乗り越えて地元就職

Q.長崎市出身の川井さんは、地元長崎の高校に進み、長崎大学工学部に進学。ずっと地元を離れず生活されているんですね。

昔から地元から出たいという気持ちは全くありませんでした。もともと人混みが苦手で、長崎のようにゆったりと暮らせる場所が自分には合っているのかなと感じています。ですので就職活動では、地元で働くことができる企業を中心に志望しました。

当社を知ったきっかけは、たまたま就職活動が本格化した大学3年の秋に、長崎に新しくオフィスを構えるというニュースをテレビで見たことがきっかけです。小さい頃からパソコンで遊ぶのが好きで、IT系の企業を中心に検討していたので興味を惹かれました。その後、長崎大学に採用担当者の方がいらしたタイミングでお話をして、実際に真新しい長崎のオフィスも見学させていただき、この場所で働きたいと決心しました。社員の方の印象はとてもフレンドリーで、技術開発の仕事にチャレンジしたい気持ちを伝えるとあたたかく歓迎してくれました。

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Q.川井さんの採用試験が始まった2020年春は、まさに新型コロナウイルス第一波が広がる時期でしたが、影響はいかがでしたか。

対面での面接や説明会は大幅に減少して、全てオンライン中心に切り替わりました。当社の採用面接もオンラインによるリモートでの実施が多くなり、京都にある本社との最終面談もモニター越しでした。対面式と違って採用担当者の方の表情がよく分からず、どう思われているのか不安になりました。ただ長崎で暮らす私としては、面接を受けるために移動する手間が省けて、お金や時間の面での負担は軽減されました。

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Q.現在もコロナ対策から社会的な制限がありますが、川井さんが生活する上での影響はいかがですか。

私自身はインドア派で、休日は家でゲームをしたり配信サイトで映画やアニメを楽しむのが趣味なので、そこまで影響はないかもしれません。ちなみに、家ではVRのゲームはしていません(笑)。勤務時間が安定していて、有給などもスムーズに取得できるので、うまくリフレッシュしながら仕事に励んでいます。社会人になってからも実家暮らしなので、一人暮らしをするより貯金ができていると思います。

慣れ親しんだ地元で暮らしながら、最先端の技術開発に携わる

Q.地元就職を希望していた川井さんですが、実際に長崎で生活しながら働いていかがですか。

慣れ親しんだ場所なので、スムーズに社会人としてスタートすることができました。学生時代と違うのは、やはり行動範囲です。これまで足を運んだことのなかった地元の飲食店を発見する機会が多く、地元周辺にもこんな素敵なお店があるんだと嬉しい気持ちになります。また長崎県はIT系の誘致企業が増えていて、産官学が積極的に連携しながらIT分野を活性化させているので、どんどん魅力的な県になっていくことを期待しています。

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Q.今後の仕事における目標を聞かせてください。

私たち技術戦略部は、社内の他の部署から新しい技術を相談されて開発に取り組みます。積極的に技術力をアピールしていきながら、現場のさまざまな課題解決に貢献したいです。VRやARはエンタメ分野での活用が先行していますが、例えば危険な工事現場での事故を予知する体験プログラムなど、いろんな形で企業活動に貢献できる可能性があります。どんどん新しい技術開発に挑戦していきながら、いつかは地元である長崎の力になれたらと思います。

Q.後輩へのエール

就職活動をしている最中は、誰しも不安になるものです。自分だけで悩みを抱え込まず、身近な友人や家族に相談することで、気持ちが楽になります。遠慮せずに相談することが大切です。そして必ず皆さんにぴったりの企業と巡り合うことができると思うので、最後まで諦めずに頑張りましょう。

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取材日/2022年7月8日 取材はソーシャルディスタンスに十分配慮した上で行ない、撮影時のみマスクを外しています