県外で身につけたデザインスキルを地元企業で発揮する

県外で身につけたデザインスキルを地元企業で発揮する

県外で身につけたデザインスキルを地元企業で発揮する

シリーズ『活躍するなら、ふるさと長崎で』をお届けします。
第2回は「株式会社昭和堂」。
学生時代に培ったデザインスキルを活かして、幅広い分野のデザインを手掛けている方をご紹介します。
先輩の姿から自分自身が長崎でキラキラと輝く未来をイメージしてみませんか。

印刷物やWEB、動画の制作をはじめ、マーケティングリサーチに基づいた多種多様な情報発信ツールによるトータルプランニングを得意とする昭和堂。各種媒体の制作を担当するビジュアル・クリエイターとして活躍している中川さんは、チラシやパンフレットはもちろん、看板や商品パッケージなど、幅広い分野のデザインを手掛けています。自分で担当したデザインを地元で見かけることも珍しくありません。学生時代からイラストやデザインに興味があり、実践的な経験を重ねてきました。やりたいことを追い求める中で繋がった就職活動や長崎での暮らし、専門的な仕事内容、今後の目標などについてお話を伺いました。

中川 智尋さん

株式会社昭和堂

中川 智尋さん

企画デザイン室トップラン ビジュアル・クリエーター
長崎県長崎市出身 入社5年目

デザイナーとして、思いを汲み取り形にする仕事

Q.まずは中川さんの担当している仕事内容について教えてください。

私が所属する企画デザイン室トップランは、各種媒体の企画や制作を担当する部署です。お客さまから丁寧にヒアリングした上で、チラシやパンフレット、WEB、車のラッピング広告など、いろんなツールを制作します。もともと印刷会社としての歴史が長い昭和堂ですが、現在は紙媒体だけではなく、多種多様な媒体の制作やトータルブランディングで力を発揮しています。また部署内にデザイナーやプランナー、カメラマンが所属しているので、企画段階の打ち合わせからワンストップでお客さまのご要望にお応えできるのが強みです。

私はビジュアル・クリエイターとして、パソコンのデザインソフトを使いながらデザインを一から制作しています。企画デザイン室トップランのスローガンは「伝えたい思いを伝わる形にする」です。お客さまや商品によって目的やターゲットが異なるので、そうした思いを汲み取りながら最適なデザインを形にしていきます。毎日いろんな案件を担当していて、媒体の種類はもちろん、かわいい系からカッコイイ系まで、いろんな路線のデザインを求められます。入社5年目となりましたが、経験を重ねる中で表現の幅がどんどん広がっていると感じますし、以前より心の余裕が生まれています。案件が重なり忙しい時もありますが、部署内で分担することでスムーズに進行できています。

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Q.デザインという専門的なお仕事ですが、働く上で心がけていることはありますか。

制作途中で先輩方に相談する、何度もチェックしてもらうことを大切にしています。学生時代は自分一人なので、完成後に問題があっても修正すれば解決します。しかし会社の一員として同じように進めると、作業工程が無駄になったり、他の仕事に影響を及ぼしてしまいます。第三者の目からアドバイスをもらうことで、詰めの甘い部分がよく分かります。細かく方向性を確認しながら仕上げていく方が効率的だと、実体験から学びました。

Q.地元の企業の広告デザインに携わることも多いそうですね。

はい。朝ふと新聞を広げた際に自分が制作したチラシが折り込まれていたり、街中で私がデザインを担当した大型看板を目にすることがあります。そんな時は嬉しいですし、母にさりげなく「私が作ったんだよ」と自慢することもあります(笑)。身近な地元で自分がやった仕事を目にする機会があるのは、モチベーションアップに繋がります。

興味のある分野で、自分に合った居場所を見つける

Q.長崎市出身の中川さん。もともとイラストを描くのが趣味で、高校は創成館高校のデザイン科を選択したそうですね。

充実したカリキュラムでの学びを通して、実際に画力が上達したと感じます。ただ将来の仕事としては、絵を描くのは趣味にしたいなと思うようになりました。デザイナーや美術の教員を目指すことができる大学を志望する中で、九州産業大学の芸術学部に進学しました。

大学1年次はデッサンや平面図、西洋美術といった基礎学習が中心で、2年次からグラフィックデザインの講義を中心に、専門的な学習を深めていきました。大学に企業などの団体からデザインコンペの依頼があり、在学中から制作に取り組むことでかなり実践的な経験を重ねることができました。当時担当したロゴデザインを、今でも使用し続けてくださっている企業もあります。また先生方も、街で目にする有名なデザインを作った実績のある方が多く、リアルなデザイン業界の知識を教えてもらうことができました。

生活の面での不自由はありませんでした。大学近くの静かな場所のアパートに住んでいて、博多や天神にもアクセスしやすく、一人暮らしを楽しく満喫していました。

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Q.就職活動の流れや、昭和堂に入社するきっかけについても教えてください。

大学3年次3月の就職活動開始時点では、どういった仕事がいいのかまだぼんやりしていていました。まずは企業を知るために、福岡のドームで行われた企業説明会に参加。デザイン関係の仕事に携われる大手企業を中心に話を聞いて、最後に立ち寄ったのが昭和堂の企業ブースでした。なんとなく名前を聞いたことがある程度の認識でしたが、説明を聞く中で、自分の知っているデザインを実は昭和堂が手掛けていたということが多くて驚きました。

他の会社の話を聞いた時は、将来その会社で働いているイメージがあまり湧いてきませんでした。しかし昭和堂の方から話を聞くと、自然とここで働けるような気がして。もっと知りたいと思い、諫早市の本社の会社見学に行くことにしました。そこで実際の制作現場を見ることができ、本格的に昭和堂で働きたいと考えるようになりました。

もともと福岡での一人暮らしに満足していましたし、最初は就職先も福岡か、関西周辺の企業を漠然とイメージしていました。会社の知名度ではなく、自分に合うか合わないかを重視する中で、結果的に長崎にUターンする形となりました。

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自分のスキルを存分に発揮できる天職

Q.長崎での暮らしはいかがですか。

現在は長崎市の実家で暮らしています。大学時代から長期休暇のたびに帰省していたので、そこまで大きなギャップは感じません。一人暮らしと比べると少し自由は制限される部分がありますが、貯金ができる面では非常に助かっています。福岡の住まいでは家賃が3万円代でしたが、長崎で一人暮らしをしようとすると、駐車場代も含めてもっとお金が必要となります。実家から車で職場に通うことで、うまく節約できています。

休日は母や会社の後輩と、カフェやランチを楽しんでいます。日頃からインスタで長崎県内のお店をチェックしていて、佐世保や東彼杵まで足を運ぶこともあります。

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Q.今後の仕事における目標を聞かせてください。

これまでビジュアルクリエイターとしてデザインのスキルを磨いてきましたが、今後はさらにコミュニケーション能力も磨いていきたいです。社内・社外問わず、企画やデザインを説明する場面も多いので、より的確に伝えられるようになりたいです。

昭和堂は先輩社員との距離が近く、あたたかみを感じる働きやすい職場です。仕事は大変なこともありますが、それも含めて楽しいと思える、自分にとってまさに天職だと感じています。

Q.後輩へのエール

私が昭和堂に入社して地元にUターンしたきっかけは、たまたま参加した企業説明会でした。ちょっとした偶然から自分に合った企業が見つかるかもしれませんし、県外ではなく身近な長崎にあるかもしれません。最初から諦めて視野を狭くするのではなく、地元にも目を向けながら、いろんな企業の話を聞いてみるのがオススメです。

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取材日/2023年5月10日 取材はソーシャルディスタンスに十分配慮した上で行ない、撮影時のみマスクを外しています