シリーズ『未来に繋がる”成長分野”で働く』をお届けします。
今後の成長が期待される半導体、IT、航空機、海洋エネルギー関連のそれぞれの分野で活躍されている方を4ヶ月に渡ってご紹介します。
第4回は、海洋エネルギー関連分野の「協和機電工業株式会社」で、洋上風力発電に関連した観測システムの実用化に携わる方をご紹介します。
先輩の姿から自分自身が長崎でキラキラと輝く未来をイメージしてみませんか。
1948年に長崎で創業し、水や電気などの社会インフラの整備、そして地球環境に配慮した省エネルギー社会の実現を目指す協和機電工業。事業開発部に所属する平山さんは、新たな再生可能エネルギーとして注目を集める洋上風力発電に関連した風況観測装置及び環境アセスに必要な観測システム等のプロジェクトを担当しています。県内企業と協力しながら、実証実験や開発に取り組みます。もともと異なる分野の大学や仕事を経て、中途採用で入社。自分の可能性を信じて、ふるさとの長崎で新たにチャレンジしています。現在の仕事内容や入社の経緯、Uターンした長崎での暮らし、休日の過ごし方などについてお話を伺いました。
協和機電工業株式会社
平山 慧望 さん
事業開発部 電気エネルギープロジェクトグループ
長崎県出身 入社3年目
海に恵まれた長崎で、洋上風力発電に関連した観測システムの実用化に向けて尽力
Q.まずは平山さんの担当している仕事内容について教えてください。
長崎で創業して約70年になる当社は、水や電気といった重要な社会インフラ設備を支える事業に取り組んでいます。水処理・電機設備などの設計や施工だけではなく、企画開発、製造、保全、研究開発まで一貫して行い、ワンストップで課題解決を目指します。
所属する事業開発部では、既存技術を活かしながら応用し発展させるプロジェクトを少人数で担当します。私は電気エネルギープロジェクトグループで、近年注目を集めている洋上風力発電に欠かすことができない浮体式観測装置等に携わっています。行政や県内企業が参画する大きなプロジェクトで、弊社の高い技術力を発揮して主に電源部分を開発しています。浮体式観測装置は洋上で稼働させる必要があるため、発電・蓄電・クラウドを利用した遠隔監視等多くの技術的要素が含まれます。必要な発電量を確保できる性能はもちろん、洋上ということもあり頻繁にメンテナンスができないため、耐久性や持久性も大切です。そして塩害対策など、洋上ならではの課題もクリアしなければなりません。まだまだ経験不足を感じることもありますが、新しいエネルギー関連分野の最前線で仕事ができて大きなやりがいを感じています。
Q.仕事をする上で大切にしていることはありますか。
ずっと頭の中で考えるのではなく、とにかくやってみることを大切にしています。良い意味で深く考えないというか(笑)トライアンドエラーを繰り返しながら、改善策を見つけています。私自身もともと電気関係の大学や仕事を経験していないので、とにかく動きながら知識を増やしている段階です。
事業開発部は社員ごとに担当するプロジェクトがあり、一つのテーマに向かって集中して取り組みやすい職場だと感じます。加えて上司のフォローも手厚いので、分からないことはすぐに相談できます。また開発室が社内にあるので、必要に応じてすぐに実験できる恵まれた環境だと思います。
経歴にこだわり過ぎず、やりたい仕事にチャレンジ
Q.時津町出身の平山さんは、長崎を離れて鹿児島大学工学部に進学。もともと電気関係やものづくりに興味があったのでしょうか。
いえ、実は今の仕事までは紆余曲折あって。高校は理系でしたが、もともと医療関係の仕事に興味があったんです。そこから製薬会社への就職を視野に入れて、鹿児島大学工学部の化学生命工学分野を選択しました。研究室は分析系だったので、ものづくりとは畑違いです(笑)。大学生活はとても充実していて、バスケットボール部やボランティアサークルに所属して活動。一人暮らしを通して生活力が身に付いたと思います。
就職活動の当初は製薬会社を考えていましたが、祖父母が暮らしていた五島の活性化にも興味があり、結局Uターンして長崎の商船会社で勤務することになりました。そこで3年くらい働いたタイミングで、遠方への転勤を打診されましたが、やっぱり生まれ育った長崎を離れたくない、地元で何かを成し遂げたいという気持ちが強くて。それがきっかけて、働きながら転職活動を始めました。
Q.そこからどのようなきっかけで協和機電工業に入社したのでしょうか。
転職する上で、まず長崎の企業というのが第一条件でした。また生活を支える身近なインフラに携わりたいと思い、ハローワークや転職サイトで調べる中で、協和機電工業の募集を見つけました。もともと時津町出身なので会社名は知っていましたが、事業内容はよく分かっていなくて。調べても難しい内容でしたが、そこに面白さを感じて志望しました。
最初は別の部署での募集でしたが、面接の途中で事業開発部をご提案いただいて、今に至ります。もともと電気分野は未経験で一からのスタートでしたが、ポテンシャルに期待いただいたというか(笑)本当に有り難い縁があったなと思います。
Q.未経験からどのように仕事を覚えていったのでしょうか。
新卒社員であれば体系的な研修制度が用意されていますが、中途採用の場合はOJTが基本となります。ただ私の場合は経験がなかったこともあり、やりながら覚えるというか。先輩が「これ一回やってみて」と試す機会を多く設けてくださったおかげで、知識獲得と能力向上を並行して取り組むことができました。また基本的な電気工事の資格も入社後に取得しました。
新しい再生可能エネルギー分野のプロフェッショナルを目指す
Q.協和機電工業に就職してからの長崎での暮らし、休日の過ごし方についても教えてください。
今は時津町の工場に長崎市から通っています。実家も近くなったので、週末にはよく顔を出しています。ここ数年間で特に長崎駅前の街並みが大きく変化していて、もう前の景色をよく思い出せないくらいです。休日はとにかく外に出ていて、家にいることはほとんどありません。もともと実家が所有していた山の一角に畑があり、そこで季節の野菜を育てています。結構な広さで、雑草をとったり畑仕事をしていると気分がリフレッシュできます。できた野菜は知り合いに配ることもあります。
Q.今後の仕事における目標を聞かせてください。
担当している浮体式観測装置については、現在実証試験を行っている段階で、その結果をもとに改良を続けていく予定です。実際の運用開始まではもう数年かかると思いますが、まずは事業の立ち上げをきちんと終えたいと思います。そして今後もこうした経験と知識をどんどん蓄積して、新しい再生可能エネルギー分野のプロフェッショナルになりたいです。
Q.後輩へのエール
これまでの進路選択を振り返ると、いろんな分野に興味を持ちながら、自分から積極的に行動してきました。もちろん未経験の分野に飛び込む上では、不安を感じることもありました。しかし、いざ始めるとなんとかなるというか、紆余曲折あってたどり着いた今の仕事が一番楽しいと思えています。そういう意味でもチャレンジして良かったと感じますし、就活生の皆さんも、大学で勉強したことだけに囚われすぎることなく、その時々の興味や関心をもとにチャレンジしてもいいのではないでしょうか。
取材日/2023年10月24日 取材はソーシャルディスタンスに十分配慮した上で行ない、撮影時のみマスクを外しています