シリーズ『長崎らしい職場で働く』を4カ月にわたってお届けします。
第3回は、佐世保市を中心に幼児から社会人までの教育サービスを展開する「株式会社智翔館」の学習塾部門で、
中高生の講師を務めながら教育DX推進にも取り組む社員の方をご紹介します。
先輩の姿から自分自身が長崎でキラキラと輝く未来をイメージしてみませんか。
智翔館は志望校合格や成績アップだけではなく、夢や志に向かって自分で人生の舵を切る「自立型人間の育成」を目指しています。日宇校で数学・理科の講師を務める安藤さんは、高校生の学習サポートも担当。さらに、教育DXに取り組むチームに所属してシステム開発に携わっています。意外にも「これまで進学・就職の際はあまり考えずに進めました」と振り返る安藤さん。異業種から塾講師として智翔館に入社したきっかけや、現在の仕事内容、Uターンした佐世保での暮らし、職場環境や休日の過ごし方などについてお話を伺いました。
株式会社智翔館
安藤 純平さん
中等部日宇校 DX推進チーム
長崎県佐世保市出身 入社9年目
きめ細かな授業と進路指導に加えてDXでも大きく貢献
Q.まずは安藤さんの担当している仕事内容について教えてください。
現在は日宇校で勤務しながら、主に中学生向けの数学・理科の授業を担当しています。1学年につき週2回ほど、10人までのクラス別で50分の授業を行います。ある意味先生らしくない、頼りになる先輩のように明るく楽しく接しているので、いつもニコニコ楽しい雰囲気の授業です。単に教科書通りに教えるだけだと面白くないので、子どもたちが自分から能動的に学びたくなるよう工夫しています。例えば大問題ごとに小グループを作って、お互いに解き方を教え合うよう促します。人に教えることで記憶に定着しやすくなりますし「どうすれば分かりやすく説明できるかな」という気持ちが、率先して本を読んだり調べたりする自立型の学習につながります。
Q.高校生向けの学習指導・進路指導なども行っているそうですね。
将来の夢の実現に向けた目標設定を一緒に考え、効率的な勉強の仕方をアドバイスしています。中学までは授業理解や成績向上など、目の前の目標達成で自信がつき、高校は大学受験で将来を考えます。何年も前から指導してきた子どもが第一志望校に受かった時の喜びは大きいです。この仕事の醍醐味は、そうした喜びを子どもたちと一緒に感じられることで、すごくいい経験をさせてもらっていると思います。
Q.DX推進チームにも所属しているとのことで、どのような活動に取り組んでいますか。
先生たちの働き方改革と子どもたちの学び方改革を目指して、事務作業の効率化や、紙ベースの資料のデジタル化などに取り組んでいます。具体的には自社アプリ・システムの開発や導入などを担当していて、特に効果を感じているのは生徒の出欠をアプリ上で連絡可能にしたことです。これまで授業開始前には電話対応で時間が取られていましたが、リアルタイムで講師に通知が来るように設定することで、授業準備や子どもたちとの会話に時間を使えるようになりました。
きっかけはコロナ禍です。智翔館ではオンラインの授業配信や動画コンテンツを充実させる取り組みをすぐに始めました。効率化することで教育の質の向上にもつながりますし、働き方改革は特に力を入れて、先生たちの働く環境を良くしたいです。
自分自身の経験から伝える、目標を持って学ぶことの大切さ
Q.佐世保市出身の安藤さん。高校卒業後に福岡の大学へ進学していますが、どのような理由で県外に出られたのでしょうか。
恥ずかしながら、当時はどこでも良かったというか…あまり深く考えずに進学しました。なので勉強にも身が入らず、友人たちとつくったダンスサークルの活動にのめり込んでいました。結局そのまま4年間過ごして、アルバイト先の飲食店を経営する会社に就職。大学進学と同じように、特に明確な理由もなく流されるように進路を決めていましたね。その後6年間くらい働いて、飲食店の店長としてほとんど休みのない生活を送っていました。ある時これまでの自分の人生を振り返り、本当にやりたいこと、一生続けられる仕事をきちんと見つけたいと考えるようになり、いったん地元の佐世保市にUターンしました。
Q.智翔館に入社したきっかけについても教えてください。
大学時代に母校の担任を訪ねたことがあり、当時は苦手だった先生の思いやりに改めて気付きました。転職を考える際にそれを思い出し、教育に関する仕事に就きたいと決意。何の経験もなくアルバイトの募集から探す中で、智翔館を見つけました。研修として基本的な授業の進め方をしっかり学んだ後、数学の授業から担当しました。
入社のきっかけとなったのは、「何のために学ぶのか」という目的意識を大切にしながら、子どもたちに親身に寄り添う先生方の姿です。特に目標もなく進路を決めてきた自分の人生を振り返り、当時こんな先生が身近にいてくれたら…と感じました。目の前の子どもたちには、自分の成し遂げたい目標のために努力を重ねてほしい。そんな気持ちで入社しました。
Q.実際に入社して、職場環境や働きやすさはどのように感じていますか。
やりたいことを提案すれば、それを実現できる環境だと思います。最初は講師としてスタートしましたが、自分の経験を生かしたいと高校生の進路指導にも手を挙げて、興味のある分野だったDXチームにも所属できました。モチベーションや熱意があれば、存分にチャレンジできる会社です。また、学習塾は土日も試験対策で忙しいイメージがあるかもしれませんが、智翔館は週休2日です。授業動画の普及や授業効率の向上により、今年はさらに休日数が増えました。Nぴか認証をいただけるくらい、有給休暇も取得しやすく、勤務が午後からなので午前中の時間帯は自由に活用できます。
DXによって作業効率だけではなく教育の質も向上
Q.大学生、社会人と10年以上福岡で生活してUターンしたそうですが、佐世保市での生活はいかがですか。
長く離れている間にいろんなお店ができましたよね。当時は「させぼ五番街」もありませんでしたし、とにかくコーヒーショップがすごく増えていて驚きました。佐世保市で暮らしていると、気持ちがゆっくりできます。福岡の中心部だと電車移動が基本ですし、どこも混雑しています。佐世保市は車でどこにでも行けますし、以前よりフットワーク軽く外出するようになりました。
DX推進チームに所属したことをきっかけにパソコンやIT分野への興味が増して、自作のPCまで作るようになりました。休日はよくパーツショップで部品を購入して改造したり、新しいプログラムやAIについて調べたりしています。ダンスは全くしなくなりましたが、ダンスを続けている同僚もいるので、智翔館ダンス部をつくって動画を撮ってみたいですね。
Q.今後の仕事における目標を聞かせてください。
講師としては、やはり会社の理念になっている「自立型人間の育成」を大切にした指導をさらに強化していきたいです。もちろん学習塾としての授業も重要ですが、子どもたちが自分を見つめ直すような時間と、成長を促すシステムをつくりたいと思います。そして教育DXに関して、現在は自社の業務に対して取り組んでいますが、今後はさまざまな中小企業や教育機関にも技術を提供し、連携しながら働き方・学び方改革を実現したいです。働く大人が楽になれば、結果的に子どもたちの教育の質の向上にもつながります。デジタル分野で何かお手伝いできればと考えています。
Q.後輩へのエール
今、DXに関する業務がすごく楽しくて、楽しいから勉強するし、それでレベルが上がれば会社からも評価してもらえます。そんなふうに自分が前向きになれる強みを見つけてほしいです。子どもたちと話す中で、自分の弱みは言えるけど強みが言えない人が多いように感じます。就活に関しては、とにかく強み一点突破がオススメ。得意な分野を見つけることで、どんな場所でも活躍しやすくなると思います。
取材日/2024年6月3日