地元・長崎の工場から世界に向けて活躍できるものづくり

地元・長崎の工場から世界に向けて活躍できるものづくり

地元・長崎の工場から世界に向けて活躍できるものづくり

シリーズ『長崎らしい職場で働く』を4カ月にわたってお届けします。
第4回は、世界トップクラスの建造効率を誇る西海市の「株式会社大島造船所」の船装設計課で、船の装備品の配置検討、設計に取り組む社員の方をご紹介します。
先輩の姿から自分自身が長崎でキラキラと輝く未来をイメージしてみませんか。

石炭や穀物などを運ぶ、ばら積み貨物船の建造に特化する西海市の大島造船所。建造効率は世界トップクラスを誇り、環境性能の高い最先端技術の研究開発にも積極的です。船装設計課鉄艤係の藤本さんは、航海に欠かせないライトやレーダー、救命機器などの配置・設計を担当。メーカーや現場作業者と丁寧に意思疎通を図りながら、規則に沿うよう装備品を設計図に落とし込んでいます。大学時代に「何か大きなものが作りたい」と考えていたという藤本さん。大島造船所に入社したきっかけや現在の仕事内容、大島での暮らしなどについてお話を伺いました。

藤本 亮汰さん

株式会社大島造船所

藤本 亮汰さん

設計部 船装設計課 鉄艤係
長崎県出身 入社3年目

英語を駆使し、船の装備品の配置や設計を担当

Q.まずは藤本さんの担当している仕事内容について教えてください。

船の装備品の配置検討と設計をしています。船には多種多様な装備品がありますが、主にライフボードやレスキューボート、ライフラフト(救命用いかだ)といった救命機器をはじめ、航海に欠かせないライト、レーダーなどを担当しています。一から船体を設計する仕事とは異なり、装備品を発注し、規則に沿うよう設計図に落とし込んでいくため、メーカーや現場作業者との丁寧なやりとりが欠かせません。船の安全に関わる重要な装備品であり、命を預かる責任を感じながら仕事に当たっています。また、現場作業者の負担を少しでも減らせるよう、メーカーとの「橋渡し役」になることを意識し、細やかなフォローができるよう心掛けています。

Q.仕事をする上でどういう時にやりがいを感じますか。

例えば、発注した装備品を船に取り付ける際、図面通りに配置できないなど、現場でしか分からないような不具合やトラブルが発生することがあります。そういった場合は臨機応変な判断と対応が求められます。周囲には経験豊富な先輩がおり、過去の事例をもとに的確なアドバイスをしてくれます。経験不足でまだ迷う時もありますが、トラブルをうまく切り抜けられると、達成感に満たされます。自分が担当していた工程が順調に進み、船を引き渡すときもやりがいを感じます。

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Q.業務で英語を使うことも多いそうですね。

お客さまや船員はほとんどが海外の方で、職場にも外国人社員が多くいます。会話やメールでのやりとりをはじめ、図面も英語表記なので、日常的に英語が必要になります。学生時代はTOEICの勉強ばかりで、ビジネス英語の会話に自信はありませんでしたが、大島造船所には自社の英会話教室があります。週1回、日本や世界のニュース、出来事について、アメリカ人の先生やクラスメイトと英語で意見交換しています。フィリピン・セブ島やイギリス・ケンブリッジの語学学校に留学するプログラムもあり、努力次第で集中的に英語力を高められます。

スケールの大きなものづくりに携わりたい

Q.大村市出身の藤本さんは地元大学の工学部に進学していますが、元々ものづくりに関心があったのですか。

父親が自動車工場で働いていたことから、機械に興味を持つようになりました。理系科目が得意で知識も生かせると思い、工学部に進みました。大学で建築や橋梁などの構造工学を学び、「大きなものが作りたい」と考えるようになりました。専攻の振動工学の研究を深めるため、大学院に進学。この6年間はとても充実しており、当時の友人とは今でも連絡を取ったり、オンライン飲み会をしたりしています。

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Q.大島造船所に入社したきっかけを教えてください。

大学院に進学する年、大島造船所と大学が連携協定を結び、船舶・海洋工学関連の人材育成や研究・開発に取り組む、寄付講座が始まりました。受講はしていませんでしたが、「大きなものを作りたい」との思いは変わらず、造船という仕事に興味を持ち始めました。できれば長崎で働きたいと考えており、長崎を拠点に世界で活躍する大島造船所は理想的な企業でした。その後、工場見学に参加し、実際の設備や現場を目の当たりに。どうやって大きな船が組み上がっていくのか非常に興味が湧き、ワクワクしました。

Q.入社後の新人研修や実際の業務はいかがでしたか。

入社後の3カ月間は新人研修があります。初めの1カ月は敷地内の訓練校で、溶接作業などさまざまな業務を体験。その後、各現場に仮配属され、実際の業務に取り組みながら、正式な配属先が決まります。

大学の研究分野が直接生かせるのは、船体設計だと考えていたので、装備品を扱う部署に配属されたのは意外でした。ただ、元々機械いじりが好きだったこともあり、今は自分に適した職場だと感じています。入社3年目を迎え、自分が担当する装備品の基本的な知識は身に付きました。ただ、規則に沿った配置と知識が頭の中でひも付けできていないこともあり、さらに知識を深めたいです。

Q.入社以降、会社近くの社員寮で暮らしているそうですね。

2019年に建てられた全室バストイレ付きの寮は、とても快適で不自由ありません。同期も寮で暮らしており、気軽に声が掛けられ、コミュニケーションが取りやすいです。遊びの予定を立てる際は誰かの部屋に集まることもあります。大村市の実家にも月に1、2度帰省しています。

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配属先が新しい可能性を引き出してくれた

Q.西海市での暮らしはいかがですか。

とにかく海がきれいで、美しい水平線は見飽きることがありません。新鮮でおいしい魚が堪能できる店も近くにあり、自分へのご褒美として、足を運んでいます。

最近は同期に誘われて、キャンプを始めました。すっかりはまって、県内だけでなく佐賀県のキャンプ場にも行きました。道具も安いものからこつこつ集め、かなり充実しました。春や秋の過ごしやすい時期にテントを立て、食事を作り、ぼーっとする時間が最高です。

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Q.今後の仕事における目標を聞かせてください。

今はとにかく目の前の仕事に集中しており、まずは担当する業務の全体を把握しながら、着実に進められるようになりたいです。同じ部署には、装備品に関するさまざまな規則に詳しい、プロフェッショナルの先輩がたくさんいます。まだまだ勉強中ですが、先輩方のように専門性の高い知識を身に付けられるよう、頑張りたいです。

Q.後輩へのエール

自分がイメージしていたのとは違う部署に配属され、最初は不安もありました。しかし、そこで与えられた仕事を頑張る中、その部署の楽しさを見つけられました。今では奥底に眠っていた適性や関心を、人事の方が引っ張り出してくれたように感じています。就活生の皆さんも、自分の希望だけに固執することなく、いろいろなことに挑戦してほしいです。自分の感覚を信じて、新しいやりがいや楽しさを膨らませていくことが大切だと思います。

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取材日/2024年6月28日