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長崎からエールを

それぞれが思い描く「誰かのために」。|長崎発のアイドルユニット”スマートオブジェクト.”

昨年8月にデビューした長崎発のアイドルユニット”スマートオブジェクト.”、通称スマオブ。今回は、「誰かのために」というコンセプトで活動する彼女たちが思い描く夢と、コロナ禍に本格スタートしたアイドル活動への葛藤に迫った。

”スマートオブジェクト.” メンバー

門間るのわ

センターポジションとしてチームを牽引。最近チャレンジしてみたいことはボルダリング。

朱羽あおい

リーダーとしてチームをまとめる大黒柱。直近の目標はキックボクシングで適度に腹筋を割ること。

夢歌りある

小柄ながらも力強いダンスでチームを鼓舞。学生時代はインターハイ出場も経験した空手女子。


彼女たちが所属するMD-productionは、長崎県内で広告事業を展開する企業が中心となって立ち上げた芸能プロダクション。当初はコロナ禍における飲食店応援キャンペーンBUY LOCAL nagasakiで起用するモデルを探していたものの、イメージと合致するモデルのキャスティングが難航。悩んだ末に出した答えが「ないものはつくればいい」というものだった。

その後、SNSでメンバーを募り、2019年末から活動をスタート。1年3ヶ月が経過した現体制は、2020年春までに合格した門間るのわさん、朱羽あおいさん、夢歌りあるさんの3人だ。

(砂浜で撮影されたリーダーのあおいさん)

アイドルを志したきっかけは?

夢歌:小さい頃から、歌って踊るのが大好きだったんです。先日たまたま見返した小学校のアルバムにも「歌って踊れる空手家になる」って書いてました(笑)。空手は部活動の引退を機にほとんどやっていないんですが、当時からそういうお仕事ができたらいいなとは考えていたんだと思います。

― 目立つのが好きだった?

夢歌:そう…かもしれないです。文化祭のときなんかは、いつもステージで踊ってました。正直、歌手とかアイドルって道を諦めていた部分があったんですけど、Twitterでたまたま募集の告知が目に留まって。あ!やりたい!って速攻で応募しました!

朱羽:私はスマオブのオーディションが初めてじゃなかった。元々アイドルは好きだし、自分もアイドルになりたい。そう思って他県でオーディションを受けたんですけど、落ちちゃって。「私はきっとアイドルになれないから、じゃあ好きなアイドルを推していこう!」と思っていた矢先にスカウトしていただいたんです。

でも正直、私の中で「アイドルになりたい!」って気持ちは既に完結していて、その時は気持ちが乗らなかった。「一度見に来るだけでいい」と言われて足を運んだオーディションで、るのわに魅せられたんです。私、この子と一緒にやりたいなって。私がもう一度アイドルを目指したきっかけは、るのわとの出逢いが大きいですね。

門間:私はりあると同じで、小さい頃から歌って踊ることが大好き。生まれつき好きだから、生まれつきアイドル。本当に、常にアイドルになりたいと思って生きてきました。オーディションの存在を知ったのはTwitterだったけど、一瞬の迷いもなかったです。


”私は人生のいろんな場面で、アイドルに勇気をもらいました。だからアイドルになりたいんです。”

音楽は好きだから聴くもの。これ以上の思考がなかったプロデューサーは、るのわさんのこの一言にハッとさせられたと振り返る。当初はキャンペーン起用に向けた期間限定プロジェクトだったスマオブが、「長崎から全国へ」の夢に向かうアイドルの道へ踏み出した瞬間だった。

(デビュー前に公開されたサンプル楽曲)

― 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、春先に予定していたデビューが8月まで延期になったと伺っています。当時の心境を教えていただけますか?

夢歌:私は4月に予定していたデビュー直前に加入したんですが、当時は「歌もダンスも急いで覚えてもらうよー!」って感じだったんです。本当に必死だったけど、実際に待っていた現実はデビュー延期の連続。

ただ、その中でYouTubeにチャレンジしたり、ライブ以外の経験を積む機会にもなったので、逆に良かったのかなって。楽曲以外で私たちを知って、そこから応援してくれている方もいらっしゃるので、いまはできることを全力でやろう!と割り切っています。

朱羽:デビュー、だんだん伸びていったんですよ。次は5月、次は6月って。正直「またかー」って思ってたんですけど、その期間にスキルアップできたことは大きいかなと思ってます。ライブに向けての下積みというか、クオリティを上げるチャンスだなって考えるようになりました。

門間今だから言えるけど、正直うんざりしてました(笑)。でも、その中でメンバーとの結束力が大きくなったなあって感じているので、結果的には良かったのかなって思ってます。


春先に予定していたデビュー曲は「さくら」。しかし、思いもよらない事態にスタッフ陣もどう動いていいのか手探りの状態だったという。感染拡大が止まらない現実、それに対する世論、そして経営とのバランス…試行錯誤を繰り返す中で、スタッフ陣とメンバー間での衝突も経験した。

「当時は本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだった」と話すプロデューサーだが、そんな中でも立ち止まることだけはしなかった。レッスンには必ず同行し、メンバーの自主性を重んじた栄養管理も徹底。周りの支えがあるからこそ、メンバーがプロとして活動ができる。そのことを忘れないようにと願いを込めてサポートを行ってきたのだ。

アイドルとして、人として成長していくために厳しく接する一方で、楽曲制作にはメンバーの意見を積極的に取り入れた。今でも「これ聴いてみてください」「こんな曲をつくってください」と勧められたものは聴き込み、インプットを繰り返しているという。

特にデビュー曲になった「Dear my friend」は、当初の予定ではボツ曲。ゴミ箱に放る前にあおいさんに相談し、「ありです」との意見を受けて再考した。「オーディションの曲は、あくまでオーディション用」と断言するプロデューサーもまた、「彼女たちのために」というコンセプトで楽曲制作に励んでいた。

(デビュー曲となった「Dear my friend」)

― アイドル活動での苦労や、難しさを教えてください。

夢歌:表現する難しさ、みたいなものは感じてます。私たちはアイドルであって、ダンサーじゃない。ただ踊るだけじゃなくて、どうやったら歌詞まで伝えられるんだろうって日々考えてます。その中で、いつか自分らしさも生まれてきたらいいなって。

朱羽:はじめの頃は、ダンスが本当に苦手でした。思っていたよりも遥かにできない自分が嫌になって、向いてないなって落ち込んでしまうこともありました。レッスンも行きたくないって思ってたし、本当につらかった。でも今はみんなと同じレベルで踊れるようになってきたので、すごく楽しいです!

門間:私はアイドル活動よりも、人間関係が不安でしょうがなかったです。最初はそんなに仲良くなかったから。

朱羽:仲が悪いわけじゃないけど、ごはんに行ってもスマホずっと触ってたよね。とにかく黙ってしゃべんない!みたいな。

門間:そうなると楽しくできなかったし、デビューできないもどかしさもあったよね。でも今はすごく仲良しなので、大丈夫です!

朱羽:なんか嘘っぽいよ!(笑)

門間:本当なんです!信じてください!(笑)

夢歌:私はそこまでモヤモヤした印象はなかったかも!たしかに、冗談を言えるような関係ではなかったけど(笑)。

朱羽:メンバーだけの自主練をするようになってから、ぐっと距離が縮まったよね。私たち、みんな同じ方向に向かってるなって。今はもう、常に誰かがうるさい。

夢歌:主にあおいでしょ?(笑)

朱羽:そう!だから、飽きずにいてくれる2人には感謝だね(笑)。

(今では明るく冗談も言い合える関係に。)

― 日頃の生活で変わったことはありますか?

夢歌:姿勢ですね。私は歌劇とかミュージカルを観るのが好きなんですけど、そういう人たちは常に見られていることを意識しているんです。すごい、見習わないとなって思います。あと、めっちゃダイエットしました(笑)。

朱羽:みんな成功したんですよ!

夢歌:栄養士さんに管理のサポートをお願いしたり、運動量を増やしたり。ただ、活動が本格化してからは習慣化してきたので、特に意識せずともキープできるようになりました。

― 食事制限はつらくなかった?

朱羽:めっちゃつらかったです!活動前はごはん茶碗大盛りで食べてたんですけど、いきなり「米は100gだけ」とか。コンビニで売ってる塩おにぎりの、半分ちょっとなんですよ(笑)。

夢歌:人によって基準が違ったんだよね。

朱羽:そうそう。今は胃袋が縮まって、そんなに食べなくなったよね。

夢歌:制限はほとんどなくなったけど、自分たちでキープできるように頑張らないとなって思ってます。

朱羽:私は、前より家族と話すようになりました!

― てっきり逆かと…!

朱羽:家族や友だちが、すごい応援してくれてるんです。新曲をリリースする度に「出たねー」って言ってくれたり、毎週金曜日にYouTubeに動画がアップされたときにLINEをくれたり。実家の近くでレッスンをするときは必ず家族に会ってから帰るようになったし、とにかく家族と過ごす時間が増えました。

― それは、りあるちゃん、るのわちゃんも同じ?

夢歌門間:応援してくれてます、みんな!

朱羽:長崎新聞に掲載していただいたときなんて、「4部買った!」って連絡がきました。私も6部買っちゃったんだけど(笑)。

夢歌:それは買いすぎ!(笑)

朱羽:記事が出た日にコンビニに行ったら、たまたま?長崎新聞がいっぱい置いてたの(笑)。いいじゃん!と思って、隣に並んでる新聞と同じ数くらい残るように買いました。バランスを取ってあげたんです。

夢歌:なんで上から目線なの(笑)。

門間私は、人生に希望が持てました。アイドルになる前は楽しくなかったけど、今はすっごく楽しいです。


新しいチャレンジに必ずつきまとうのが、周りの声。スタッフ陣も、活動当初は「何やってるの?」と言われることが多々あったという。それでも一丸となって活動を続けている、チームスマオブの一体感がそこにはあった。

(チームスマオブの最近の流行はボードゲームだとか。)

― これからの目標と、理想のアイドル像を教えてください。

夢歌:いつか、武道館でライブがしたいです。スマオブは「誰かのために」っていうコンセプトで活動しているし、私を観たら元気になれる!そんなアイドルになって、誰かを笑顔にしたい。もっと言えば、この世のすべての人がポジティブになってほしいなって思ってます。コロナが落ち着いて、春くらいにライブができたらいいなぁ…。

朱羽:推してるアイドルがいるんですけど、その人みたいになりたいなって思ってます。生で観るアイドルって、とにかくすごいんですよ!悲しい曲は一緒に泣いて、楽しい曲は一緒に笑って……本当に元気をもらえる存在だから、私もそうなりたい。踊っても歌がブレないアイドルとして、武道館でライブがやりたいです。

門間:私もアイドルが大好きで、これまで色んなアイドルを観てきました。私は、その中でも自分自身が一番になることが夢です。


3人の個性や、スタッフ陣の本音が随所に見られたインタビューはここでおしまい。特に印象的だったのは、和気あいあいとした雰囲気の中でそれぞれの色が明確に表れていたこと。それなのに、追いかける夢に一切のズレがなかったこと。

長崎県内の飲食店を応援するBUY LOCAL NAGASAKIの公式アンバサダーを務めているスマオブは、現在新曲リリースに向けて着々と準備を進めており、新メンバーの募集も行っている。毎週金曜日にアップされている公式コンテンツ『すまーと』に行こう!では、MVの凛とした表情とは異なる一面も見られるらしい…!

長崎から巻き起こるスマオブ旋風。限りないポテンシャルを秘めた彼女たちの挑戦は、まだ始まったばかりだ。

(2020年2月現在の最新曲「帰ろう歌」は最高にエモい…!)

取材対象者 スマートオブジェクト.
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Tik Tok https://www.tiktok.com/@smart_object_

ライター紹介

それぞれが思い描く「誰かのために」。|長崎発のアイドルユニット”スマートオブジェクト.”

ショートショート長崎/ながさき若者会議

長野 大生

長崎市出身のライター・編集者。2021年からは、長崎を舞台にした短編小説集を制作するプロジェクト「ショートショート長崎」の代表として、ショートショートの普及活動も行っています。