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日常茶飯事の「茶」、それがまた文化として再び根付いてくれたら~日本茶専門店 朱夏・西田春奈さん~

2021年4月24日に長崎の中通り商店街にオープンした、日本茶専門店 朱夏

長崎市にある商店街の中でも特に歴史が長く、人の流れや暮らしが根付くこの場所にお店を構えた、日本茶インストラクターの西田春奈さんにお話を伺いました。

日本茶専門店 朱夏

日本茶セレクトショップ
シングルオリジンの国産茶葉・茶器販売を行っている。
店主は日本茶インストラクターの西田春奈さん(写真左)

開店時間:12:00~18:00
店休日:不定休
住所:長崎市諏訪町6-19
SNS:Instagram(shuka_tea_)


シングルオリジンのお茶の販売

西田さん「お茶、入れてていいですか?」

もりきち「ありがとうございます!お願いします。」

西田さん「ちなみに今から入れていくお茶は『白茶』っていうんですけど、聞いたことあります?」

もりきち「聞いたことないです・・・」

西田さん「中国茶の分類で、緑茶・紅茶・青茶・黄茶・黒茶・白茶ってあるんですけど、白茶はあまり人の手を加えていなくて、ほとんど葉の形状がそのままのほんのり発酵したお茶なんです。」

もりきち「初めて聞きました。味が楽しみです!!」

日本茶専門店朱夏にて、お茶を淹れる様子
お茶を淹れながらお話

もりきち「このお店はどのようなコンセプトですか?」

西田さん「シングルオリジンのお茶の販売っていう名目なんですけど、シングルオリジンってわかりますか?お茶やコーヒーで普段よく目にするものって大体がブレンドなんですよね。色んな農園からお茶を買って、ブレンドしてお茶屋さんの味やコーヒー屋さんの味を決めて作ってっているってことがほとんどなんです。でも、うちのお店ではブレンドじゃなくて農園から買ったお茶をそのままお客さんに届けるようにしています。この単一農園単一品種のことをシングルオリジンと言います。」

もりきち「お茶の味の違いを楽しむことができそうですね。このお店ではワークショップもされているんですか?」

西田さん「はい。今やっているのが『日本茶とは何か』という講座です。お茶の定義から知らない方も多いですし、紐解いていくと製法も様々で、緑茶のイメージが強い日本茶も、色んな種類や味わいがあることを知ってもらいたくて講座をやっています。」


この日本茶の講座はお客さんからの申し込みがあった際にはいつでもできるそうなので、ご興味がある方や日本茶についてもっと詳しく知りたい方は、朱夏さんのInstagramのDMや来店時に西田さんにお声掛けされてください!!

日本茶専門店朱夏のオーナー西田さん
白茶を淹れる西田さん

ここで1杯目のお茶を頂くことに。

もりきち「いただきます。・・・紅茶の味がします。これはどう表現すればいいんでしょうか・・・(笑)」

西田さん「白茶は味わいで飲むっていうより、香りで飲むお茶なんですよね。」

もりきち「一気に飲んじゃいました。」

西田さん「まだあるので(笑)」

もりきち「味の言語化って難しいです。」

西田さん「白茶は緑茶とは全く違いますよね。スパイシーな香りもありつつ、香水みたいな花っぽい香りがします。」

もりきち「ああ、そういう表現をすれば良かったのですね笑(言葉の道は険し)」


お茶との出会いは、学生時代の地元観光

もりきち「お茶に興味を持たれたきっかけは何だったのですか?」

西田さん「それがほんとに偶然なんですよ。鹿児島の大学を卒業した後、長崎に帰ってきたときに『そういえば長崎であまり観光とかしたことないよね』ってことで、高校の時の友達と一緒に南山手周辺をふらふらと歩いていたんです。ちょうど行きたかった喫茶店が開いていなくて、南山手の美術館の喫茶店に入ったんですね。そこの館長さんの奥様から、『煎茶道のイベントに興味ないかな?』と声をかけていただいて、友達と一緒に行ってみたのが最初のきっかけでした。」

もりきち:「本当に偶然の出会いだったんですね」

西田さん「はい、そうなんです。その時は別に茶道やりたいと思っていたわけでもお茶に惹かれたわけでもなくて、私の場合は『なんなんだこれは』という感じでよく分からなかったんです。でも道具は可愛いし、お茶の世界ってこんなに脈々と続いてきているのには何か理由があるんだろうなと感じました。その文化を自分が今体験するだけじゃなくて、ちゃんと知りたいって思ったんです。それから煎茶道に入門させていただいてお稽古に通うようになりました。」

もりきち「僕はてっきり、家の仕事がきっかけでお茶に関わる仕事に就かれたのかなって思っていました。そういうことだったのですね。日本茶インストラクターの資格を取ったのはその後ですか?」

西田さん「日本茶インストラクターの1つ前の資格で、日本茶アドバイザーって資格があるんですよ。最初はお茶で仕事をしようと思っていなかったので日本茶アドバイザーの試験を受験しました。それが2014年です。それから日本茶インストラクターの長崎県支部の活動に係っていく中で、もっと活動したいと思うようになって、日本茶インストラクターの資格を2019年頃に取得したんです。」


日本茶インストラクターとして、「茶」の文化を再び。

西田さん「日本茶インストラクターの資格取得後は、本業がお休みの日にイベントをやったり講座やったりしていました。去年は小学校や中学校でお茶の美味しい淹れ方講座とかをしてたんですよ。」

もりきち「楽しそうですね!その時の学生さんの反応はどうでしたか?」

西田さん「子ども達がとても喜んでくれて嬉しかったです。今は急須をもっていない家庭も多いので、急須の持ち方がすごくぎこちない子も多かったです。でもお茶を淹れるってほんと気楽な行為で、それができるだけで暮らしが豊かになるよなって、改めて子ども達の様子を見てそう感じることができて楽しかったです。」

もりきち「最近はペットボトルでお茶を飲むことがほとんどですが、お茶を淹れるっていう文化に改めて触れてみるのっていいですよね。」

西田さん「そうですね。日本人と言えばお茶というイメーがありますけど、日本人の人も『お茶って何?』って知らない人が多いように感じます。日常茶飯事って言葉がありますけど、日常茶飯事の『茶』って今は無い気がしてて。それがまた文化として再び根付いてくれたらいいなという想いで日本茶インストラクターをやっています。」


お店を始めて気づいた、お茶の可能性

もりきち「インストラクターの資格取得を機に、お店を始めようと思われたのですか?」

西田さん「実はそうではないんです。資格取得後も個人でイベントや講座を開いていきながら、何がしたいのかを模索していました。『お茶のことをちゃんとをもっと知ってもらいたい。日常にもっとお茶の文化が根付いてほしい。お茶を飲めるところが増えると嬉しい。』というように、何をすべきなのか定まらない中、色々浮かんでくることもありました。」

「自分がお店をやらずとも全国にはお茶のお店は増えてきているし、私がやる必要が無いんじゃないかなっていう想いがどこかにあったので、とりあえず週末にイベントをしたり、資格を持っていることを発信していました。そうしていくうちに色んな方から声をかけてもらって、イベントだけだったのが、交流が増えていって、その延長線上でこのお店をやることになったんです。」

日本茶専門店朱夏の入り口の様子

もりきち「そうだったんですか。お店を開くまでは個人での活動が多かったのですね。あ、いただきます(二杯目のお茶をいただく)。ちなみに、お店が開店したのはいつですか?」

西田さん「今年の4月24日です。あ!ちょうど今日8月24日で、4か月記念日ですね~!」

もりきち:「ほんとですね!おめでとうございます!そんな日に取材させていただけるなんて光栄です。実際にオープンされてからの反響はどうですか?」

西田さん「本当にやってみないと分からないことばかりです。ニーズは様々で、『普段緑茶しか飲まない』という方が緑茶を購入されたり、『シングルオリジンで特徴的なものをください』という方もいましたし、『飲んだことが無いお茶を飲みたいとい』という方もいました。やってみて様々なニーズや、お茶の可能性に気づかされたりしています。」


「朱夏」に込めた想い

西田さん「そういえば朱夏って名前の由来ってお話ししましたっけ?」

もりきち「聞かせていただいてもいいですか?」

西田さん「朱い夏に対して青い春があるんですよ。青春時代は甘酸っぱくて生き生きとしたイメージがあるなかで、まだ人生に迷いがあるような時期。そんなみずみずしくて美しい時期がすぎたら、次は命を赤く燃やしていく朱夏が訪れます。人生の壮年期とも言われているんですけど、それが終れば白い秋、白く澄み渡った空気のある白秋が訪れて、その後に玄冬が訪れる。これは陰陽五行の考え方なのですが、季節と同じように人生にも季節があって、それぞれにやるべきことや広がっている美しい季節があって、それを楽しむという考え方が好きなんです。」

「日本って青春終わったら人生終わりっていう感じあるじゃないですか?」

もりきち「はい。よく大人はそう言いますよね・・・。なんだか悲しくなってしまいます。」

西田さん「私も若い時にそういう考えって切ないなって思っていたんです。30歳の誕生日の朝に、私の人生の先輩からこの朱夏の話を聞いてお守りみたいにしていた言葉だったので、屋号にして色んな人に知ってもらえたらなっていう想いで付けました。」

もりきち「なんだかその話を聞くと、人生のどの時期も、色の違う美しさを味わいながら生きていきたいと思えますね。自分のこれからの人生が少し鮮やかに見えてきました。」


朱夏。

私たちが仕事や恋、子育てや社会的責任に向き合い、身体と精神とを燃焼させるとき。

困難や失敗、前進や成功を繰り返しながら、暮らし歩んでいくこの長い人生の季節の中で。日本茶という文化を根付かせ、関わる人の暮らしを豊かなものにしたい。そんな西田さんの想いが感じられました。


お茶を学び続けたい

もりきち「将来の夢や目標はありますか?」

西田さん「ずっとお茶を学び続けていくのが私の夢です。ぶっちゃけこのお店をずっと続けなくてもいいと思っています。私がずっとお茶に関わっていくための一手段としてこのお店をオープンしたので。植物やお茶とと向き合っていると、自分の感覚で感じる時間を思い出させてくれることがあります。そんなお茶の仕事をしていくなかで得られた学びを、色んな人に届けられたらと思っています。」

日本茶専門店朱夏の商品

今回は、日本茶専門店 朱夏について、そして西田春奈さんについてご紹介させていただきました。

私もりきちがナガサキエールにて更新する記事では、「暮らしと商い」をテーマに、長崎で働き暮らす方をご紹介していきます。様々な職種の方が長崎で商いを始めるに至った経緯や想い、また、長崎での暮らし方や関わり方をヒントに、読者の皆様が、長崎での働きと暮らしをより豊かにするきっかけにしていただけると嬉しいです。

最後まで読んでくださりありがとうございました。
次回もお楽しみに!

ライター紹介

日常茶飯事の「茶」、それがまた文化として再び根付いてくれたら~日本茶専門店 朱夏・西田春奈さん~

もりきち

【アカペラクリエイター/ライター】として活動中。「アカペラで長崎を元気に!」を掲げ活動するアカペラクリエイターチーム「ハモらんばプロジェクト」の代表。長崎のでっちあげメディア「Decchi」編集部。