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長崎からエールを

日常に一息。古道具と共にひっそりゆったり~hissori・桑原由貴奈さん~

―「古道具って物静かなんですよ。古道具と一緒にひっそりとした空間で、ゆっくりとした空間を楽しんでほしいなと思っています。

2021年10月15日。ひっそりと生まれた、物静かな空間。

長崎市万屋町にできたのは、アンティークスプーンを中心に様々な古道具を取り扱う、古道具店〈hissori〉

今回は、店主の桑原由貴奈さんに、古道具店を営むに至った経緯や、古道具の魅力についてお話を伺ってきました。

古道具店hissoriの店主桑原さん
hissoriの店主 桑原さん(右)

買わなくても良いんです。ゆっくりとしに来て下さい。

桑原さんが古道具の魅力に感化されるきっかけとなったのは、大学2年生の頃。欲しかったオールドコーチを求め足を運んだ古着屋さん。そこの店員さんとの出会いを機に、古着だけでなく、古着店で販売している雑貨にも興味が湧くようになり、古道具の世界に繋がっていったそうです。

―「古道具のことを知れば知るほど、その魅力に惹かれていって、、、

現在は、海外(主にヨーロッパ)に行くときに古道具を買い付けて、hissoriにて販売を行っています。

店内にはスプーンやグラス、お皿を中心として、雑貨や置物も並べられています。


古道具店hissoriの桑原さんの取材風景

「ひっそりした空間をつくりたいな」と桑原さん自身からふとこぼれた言葉から、〈hissori〉と名付けたこのお店には、古道具を探しに来られたお客さんが日常の中で一息つく時間ゆったりとした空間を楽しんでほしいとの思いが込められています。

―「もちろん欲しい古道具を買いに来るのも良いですが、まずは古道具に触れてみたり、このひっそりとした空間を感じに来ていただけるだけでも嬉しいです


古道具の魅力

桑原さんが考える古道具の魅力。

一点もの

その道具が辿ってきた道から、傷や形は異なり手に取るものすべてが一点もの。世界に一つしかないお気に入りのあなただけの一点との出会いがそこにはあります。

味がある。雰囲気がある。

多くの経験を積んだ古道具は、その傷やゆがみでさえも魅力であり、そこからさらに使われれば、また誰かの手に馴染み、また誰かの特別なものに変わっていきます。

面白い

形や傷、くすみやゆがみ。誰がどのようなシチュエーションで使っていたか分からない古道具。謎だらけだからこその面白さがそこにはあります。

歴史がある

今までの時代を生き抜いてきた人たちが必要として創り上げた一つ一つの道具に、歴史が詰まっています。

人とのつながりがある

誰かが使ってきて、時が経ち、今に残る古道具。見栄えは綺麗でないものもあれど、そこには古道具ならではの温もりが感じられ、私たちが昔の人とつながる一手段として古道具があるのではないかと感じます。


古道具の魅力を聞いて、実際に僕も店内の古道具にもう少し触れて、その良さを感じてみたいと思い、桑原さんにいくつかの商品についてより詳しく教えていただきました。

古道具店hissoriのコーヒースプーン
スターリングシルバーコーヒースプーン

こちらは、コーヒースプーン。

至って僕たちが普段使っているコーヒースプーンと変わらない感じがしますが、よく見てみるとスプーンの裏にとても小さな印が刻まれていました。

「ホールマーク」と呼ばれるもので、この刻印を調べれば、製造年代や、検室所所在地などが分かるようです。それぞれのホールマークには歴史や文化を感じさせるものがあり、少し調べるだけでもその面白さを感じました。例えば、イングランド王国のライオンの刻印は、年代によって、顔だけのライオン、体全体が入ったライオンなど、形を変えて表現されていたりするようです。

古道具店hissoriのリキュールグラス
リキュールグラス

こちらは、リキュールグラス。

今のように同じ型にいれて同じ形をつくる技術が無かったころは、1つ1つ手作りだったので多少の歪みが生じていました。そのことから「ゆらゆらグラス」とも言われるそうです。

確かに、並べられているグラスを見比べてみると、微妙に形がちがい、ゆがみの具合や光のきらめく感じも少しずつ違いました。たしかにこれは自分のお気に入りの一点を探したくなってしまいます。

その後も店内の商品について気になることがどんどん出てきて、取材後30分以上も桑原さんに質問ばかりしていました。あっというまに古道具の魅力にハマってしまいました。


現代人が1日に触れる情報量は江戸時代の一年分、平安時代の一生分とも言われるほど大量に情報が溢れ、誰もがせわしなく過ごす今。
一人静かに物事を考えたり、こころを休ませ、それこそひっそりゆったりと過ごす時間は中々取れないような気がします。

僕自身も何だかドタバタと落ち着かず、気持ちをゆったりと落ち着かせることができないまま毎日あっという間に時間が過ぎています。

古道具と、それらが生み出すちょっと不思議で温かな空間に触れてみると、張り詰めた気持ちにゆとりが生まれたような気分になりました。普段は考えもしないモノの辿ってきた歴史や、それを使っていた人、それを作った人、色んなものを想像したり、温かさを感じたり。

古道具共に過ごすゆったりとした時間や、それらが生み出す物静かな空間との対話は、きっと僕たちの日常にひっそりと必要で、僕たちの暮らしに余白を生みだしてくれるかもしれません。

最近一息を忘れていた長崎の皆様、ぜひお店に足を運んでみてはいかがでしょうか。


hissori

住所:長崎市万屋町5-36 さくらビル4F
営業日:金曜・土曜 10時~15時
ホームページはこちら

私もりきちがナガサキエールにて更新する記事では、「暮らしと商い」をテーマに、長崎で働き暮らす方をご紹介していきます。様々な職種の方が長崎で商いを始めるに至った経緯や想い、また、長崎での暮らし方や関わり方をヒントに、読者の皆様が、長崎での働きと暮らしをより豊かにするきっかけにしていただけると嬉しいです。

最後まで読んでくださりありがとうございました。
次回もお楽しみに!

ライター紹介

日常に一息。古道具と共にひっそりゆったり~hissori・桑原由貴奈さん~

もりきち

【アカペラクリエイター/ライター】として活動中。「アカペラで長崎を元気に!」を掲げ活動するアカペラクリエイターチーム「ハモらんばプロジェクト」の代表。長崎のでっちあげメディア「Decchi」編集部。