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まちブログ
長崎からエールを

長崎を舞台に、ショートショート塾~ライター 長野大生さん~

一年間、ライターを担当させていただいたナガサキエールも最後の記事となりました。

最後の記事は、このナガサキエールで今年1年間一緒にライターを担当してきた、長野大生さんの活動、「長崎を舞台にショートショート塾」をご紹介いたします。


長野さんのプロフィール

僕の尊敬する先輩ライターの長野さん。「ながの」さんと読みますが、普段は「ちょーの」さんと呼んでいます。僕以外の方で長野さんを知っている方は、「ちょーの」さん呼びがほとんどです。そして下の名前は大生と書いて「ひろき」と読みます。よく「たいせい」と読み間違えられるそうですので、名前を呼ぶ際は気をつけましょう笑

さて、あだ名の説明から始まりましたが、長野さんのプロフィールを簡単にご紹介していきます。

ライター・編集者・ショートショート作家として活動をしている長野さん。2019年の3月頃から、ライティング活動を始めました。

noteにて、長野さんの活動や作品をご覧になれます。ぜひご覧ください。

https://note.com/chono_decchi

ナガサキエールでは「暮らしと学び」をテーマに1年間記事を更新して来られました。こちらもぜひ読んでいただけると嬉しいです。

ライター活動4年目を迎えようとしている長野さん。様々な長野さんの活動の中で今回取り上げるのは、「長崎を舞台にショートショート塾」という活動になります。


ショートショートとの出会い

まず、「ショートショート」とは何かを簡単に説明します。

ショートショートとは

アイデアと、それを活かした印象的な結末のある物語

参照:たった40分で誰でも小説が書ける超ショートショート講座
ショートショートとは何かを説明する長野さん

「印象的な結末のある物語」と言われてもピンと来ない方が多いのではないかと思います。実際に短いショートショートをご紹介します。

長崎の観光地として有名な「眼鏡橋」。あの橋には小銭が置かれてあるが、実は人が投げて置かれたものではない。眼鏡橋自身が観光客のポケットから小銭を盗んで置いている、完璧な自作自演なのだ。だが最近では電子決済化が進みポケットに財布を入れて歩く人が減少。なかなか小銭を盗むことができなくなった眼鏡橋は、ついに電子マネーにも対応するようになったのだった。眼鏡橋を歩いた際にスマホから決済音が流れた時は、きっと彼の仕業である。

この作品は、「眼鏡橋」と「泥棒」の、2単語から連想して作ったものです。このように、ある単語を組み合わせて作る、印象的なオチのある物語をショートショートといいます。

長野さんがこのショートショートと出会ったのは、何気なく手に取った本がきっかけでした。手にした本は、電通出版の『ニューコンセプト大全』。その中で紹介されていた「ショートショート発想法」を知った長野さんは、創作の枠に留まらない活動、長崎の地域活性化に貢献できる可能性を強く感じました。


ショートショート塾の設立

その想いから、長崎を舞台にしたショートショート集をつくろう!と思い立った長野さんは、長崎伝習所が運営を行っている塾企画に応募することにしました。

長崎伝習所塾とは

アイデアや想いを形にしたい市民を募り、特定のテーマで行政と連携しながらまちづくりに寄与する事業を行うもの。活動経費として最大50万円/年を長崎市から支援いただけたり、最大3年間の継続が認められていたりします。

参照:長崎伝習所HP

長崎伝習所の存在を知ったのは、長野さんが所属している「長崎若者会議」にて。

自分のイメージをかたちにする挑戦の場として、とてもピッタリだと感じた長野さんはすぐに応募し、プレゼンの準備を進めていきます。

プレゼンの練習は〈chiicoLab.〉という長崎で積極的に活動する方が集うオンラインコミュニティー内で行い、プレゼンの質を高めていきました。

2021年2月にプレゼンが実施。公開プレゼンで公益性・独創性・実現性・費用の妥当性などが審査され、3月に見事採用されて生まれたのが、「長崎を舞台にショートショート塾」(以下、ショートショート塾)でした。

補足:この塾活動は補助金を活用して年度末まで活動し、最大3年の継続が可能となっています。


年間を通しての活動

塾生の募集からスタートした、ショートショート塾。

SNSやHPからの呼びかけで、ショートショートに興味のある方が、世代性別関係なく集まりました。

第一回目の塾活動日は、塾活動の目的である「長崎を舞台にした短編小説集を作ること」の共有を行いました。

「子どもの読解力が低下している今、本を読むという習慣が失われつつある。ネットからいろんな情報が簡単に手に入る時代でもなお、本を読みたいと思う子が増え、読解力が再び向上する未来につなげたい。そのためにまずは大人が想像力を磨く練習をし、“読みたい気持ち”を育てるまちづくりを行いましょう!」

そんな想いを参加者の方に共有し、後半では、参加者の方にショートショートを書く体験をしていただきました。


そこから、2回、3回と活動を重ねていく中で、ショートショートの創作活動を楽しんでくださる参加者の方が増えていきました。

ワークショップの導入方法や、ショートショートを書き上げるまでのサポートをどう改善していけばいいのか、各回ごとに塾長の長野さんは考えていきました。

塾活動の様子

コロナウイルスの感染拡大で、対面での塾活動が制限される中でも、活動を止めるまいと、オンラインでのワークショップを実施。

おうち時間でショートショートを書くことを楽しんでもらえるように、定期的なオンライン会を実施。

ショートショートを書くためのアイデアを参加者の方と広げるために、フィールドワークを開催したり。

塾活動前半を終えて中間報告会を経たショートショート塾は、いよいよ短編小説集の製作に取り掛かっていきます。


参加者の方がショートショートを書くためのサポートをしながら、実際に完成した物語の添削やアドバイスを行っていきました。

物語のアイデアが広がらない時は、言葉の組み合わせを探すところから。物語のオチが見つからない時は、様々なオチの方向を見い出してみたり。表現に詰まるときは、参加者の方の作品がより魅力的になる言葉を提案したり。一人一人の塾生の方と丁寧に向き合っていきました。

そして迎えた2022年。

多くの塾生の方と協力しながら、ショートショート集の制作が大詰めを迎えていきます。


作品紹介

最終確認を行い、ついに完成したショートショート集。

ある塾生の方が書いた作品タイトルが、このショートショート集のタイトルになりました。

その名も「道に落ちていたカステラ

とても中を読みたくなるような、惹かれるタイトルですよね。

そしていよいよ、ナガサキから連想した言葉をもとに創作された44作品のショートショート集(17名が執筆)「道に落ちていたカステラ」が、長崎市各地に配布されます。

塾長の長野さんや、塾生の方の想い、作品がギュッと詰まった一冊になっています。ぜひ手に取って読んでみてください!

ちなみに僕も何作品か執筆しています笑

配布先については、SNS等でお知らせされるので、気になる方はぜひチェックしてみてください!


ショートショート×長崎の可能性

僕自身もショートショートを書くのが好きで、ショートショートを用いた文芸ユニットを組んでいます。ショートショートの可能性を感じている一個人です。最後に、ショートショートと長崎の組み合わせが生み出す新たな価値を紹介して、締め括ろうと思います。

ただ物語を書いているだけと認識されてしまうことがありますが、この活動にはとても多くの可能性が潜んでいると感じています。

1:永遠とアイデアが生み出せる

まずはショートショート発想法に対する可能性です。

言葉と言葉の組み合わせによって、生み出される無限のアイデア。

例えば、長崎をテーマにして何か新しいことが始められないかと考えるとき、どうしても目の前の課題や実際にある事例をもとにできることを考えがちです。この方法を否定するわけではありませんが、結局今までと同じことをやることになったり、「新しい!」と謳っている企画ですら、どこかで見たことのあるようなものであることが多い気がします。

ショートショートを用いたアプローチであれば、全く違う角度から新たなアイデアを生み出すことができ、しかもそれが無限に生み出せてしまいます。

とはいえ、「アイデアを生み出す」「新しい企画を作る」という前提でショートショート発想法を用いていくと、少し難しいことを考えているような気がして、発想することへの敷居が高くなったり、発想の自由度が低くなってしまうことでしょう。

それが、「物語を書く」という活動から始めると、ハードルが下がり、誰でも自由に創作することが可能になります。

ショートショート発想法を用いて物語を書くという行為を挟むことにより、暮らしや働きの中にある課題解決の糸口を探りやすくなり、新たな活動に繋げることができます。それが長崎全土に広がっていくと、地域課題の解決にも役に立てられるはずです。

2:興味の種を見つけて、芽を生やす

次は、ショートショート(短編小説)自体の可能性について。

これは主に読み手に当てはまることではありますが、ショートショートは読書離れを改善したり、学び直しのきっかけを与えてくれます。

長い小説を読むのが苦手、長い話は途中で飽きる、そもそも読む時間がない。読書離れの原因は様々あると思いますが、ショートショートはとても短い中で起承転結が展開されて、子ども~大人までが飽きずにかつ短時間で読むことができます。

なかなか読書に手がつかない子どもであれば、ショートショート作品から読み始めてみると短い時間で楽しめて、少しずつ長い読み物にも慣れていくことができるでしょうし、時間がなくて読書を楽しめない大人の方であれば、隙間時間にサクッと一話楽しめるショートショートが良き相棒になること間違いなしです。

また、今回ご紹介した「長崎を舞台にショートショート塾」のように長崎をテーマにしたショートショートであれば、長崎を知ったり学んだりするきっかけにもできます。もちろん、改めて長崎を知ってみたい、学び直してみたいといった場合にも最適です。

歴史や文化、風土や伝統など。地域を深く学ぶには、そのような少し「難しそう」と感じるテーマがつきものです。しかし、ショートショート(つくり話)から長崎を受信してみると、気楽に長崎をテーマにした話に触れることができ、「じゃあ本当の長崎ってどうなの?」とホントを知るきっかけを作ることができます

種がどこに埋まっているか分からないまま水をやっても芽が生えないように、自分の興味の種がどこにあるのかを知ってから、学びはじめないと、好奇心や勉強意欲の芽というのは伸びないはずです。

まずは触れてみる。嘘の話からでもいいから長崎を感じてみる。読んでみて「本当のことを知ってみたい」と思った分野やテーマから、長崎をより深く知っていけば、何も問題ないと思うのです。

興味の種を見つけて芽を生やす力が、ショートショートにはあります。


今回は、長野大生さんが塾長を務める「長崎を舞台にショートショート塾」をご紹介いたしました。

最後まで読んでくださりありがとうございました!

ライター紹介

長崎を舞台に、ショートショート塾~ライター 長野大生さん~

もりきち

【アカペラクリエイター/ライター】として活動中。「アカペラで長崎を元気に!」を掲げ活動するアカペラクリエイターチーム「ハモらんばプロジェクト」の代表。長崎のでっちあげメディア「Decchi」編集部。